1999年06月14日

〜お気に入りの家電&クルマ〜



louis poulsen PH5

PH5 発表は1958年と言うのですから、もう40年間作り続けられているペンダントライト、ルイス・ポールセン PH5 です。PHとは、このライトをデザインした故ポール・ヘニングセン氏を指しています。
 インテリア関係の雑誌やカタログでは定番となっているこのペンダントライトは、意匠をプライスタグに思いっきり反映してますから、よほどの気分の高揚と懐具合に余裕がなければ購入をためらってしまいます。尤も、電気屋さんに就職してる知り合いの話では、照明器具は荒利30〜35%が当たり前だそうですから、PH5 だけが特別高価って訳でもなさそうですけどね。
 とはいえ、女房もこのデザインが気に入ったようで、彼女の一声でわが家にやってきました。

PH5 inside PH5 は、シリカ電球(裸電球ですね)専用にデザインされています。デザインコンセプトは、間接照明ですね。シェードは複数のパーツで成っており、光源である電球が直接見えないようシェードとリフレクターとが巧みに組み合わされる設計です。
 右図はルイスポールセン日本ショールームからのリンク。ご覧のように、リフレクターの反射面が赤色で塗られています。また、一部は青色となっています。これらは、光の色を補正し、暖かみと爽やかさを同時に再現するための工夫なのだそうです。
 尚、“PH5 Plus”なるモデルも発売されています。PH5 の電球直下にはアルミ円板のシェードがありますが、PH5 Plus はこの円板が磨りガラスとなっていてダウンライトとしての機能も付加されています。また、光源をシェード内で上下方向に移動可能として、電球型蛍光灯も使えるように工夫されています。

 PH5 のシェード直径は50cmで高さは25cmと、縦横比1対2。数字にも美学が感じられます。そして、写真で見る以上に大きいものであることがわかります。材質はアルミで、大きさの割には軽く仕上げられています。

PH5 シェードカラーは赤,青,紫(ライラック),白の4色が日本で販売されていますが、私たちは白を選びました。最も無難な選択かな?なにぶん一般的な集合住宅の一室です。カタチだけで存在をアピールしていただこうという目論見です…。
 また、ランプ器具のケーブルは2m近くありますが、天井が低いわが家に合わせて短かくしています。

Light the PH5 PH5 はとても存在感がありますが、間接照明の柔らかい光を空間に投げかける合理的なデザインです。シェードの曲面や組み合わせの配置にも破綻が無く、シンメトリーで安心できる美しさがあります。面白いか否かは別にして…。

 それにしても、PH5 を真似たランプって今はありませんね。白熱灯ランプのほとんどは、光源が露出してます。調光器があれば苦になりませんが、明るさを求めると眩しくって好きではないんです。その点、PH5 は大満足ですね。

 PH5 は、21世紀もずっと作り続けられてゆくんでしょうね。ルイス・ポールセンがある限り。



TOYOTA SERA EXY10

TOYOTA SERA EXY10 このデザインで電気を動力源としていればと思いますが、残念ながらスターターに電気を使っているだけで動力はガソリンエンジンです。でも、これもお気に入りのカタチですので、このページで紹介いたします。

SERA BACK VIEW ‘80年代、欲望の時代。バブル経済により、多種多様な商品が要求された時代でもありました。そして、様々なデザインが市場で試されました。このページで紹介しているモノたちもまた、あの試行錯誤の中で生まれ、そして消えていったカタチばかりです。
 クルマもいろいろなデザインが登場しました。特に、日産自動車の Be-1 を皮切りに各社から現れた実用性,耐久性,高性能などとは一線を画すクルマたちは、この時代の寵児と言えるのかも知れません。そして、トヨタ自動車も例外ではなく、バブルの申子を生み出していました。

 ‘87年のモーターショーで AXV-U として発表されたこのクルマは、‘90年春に SERA の名で市場投入されました。写真の SERA は‘90年の初夏に購入しましたので、ちょうど10回目の夏を迎えようとしています。
SERA FRONT VIEW
 SERA は、オープンカーの開放感とハードトップの耐候性,快適性という相反する要素を、透明なキャノピーでキャビンを包み込むというコンセプトにより実現しています。このコンセプトをデザインにしたのが、天井までウィンドウガラスを回り込ませた左右の乗降用ドアです。この巨大で重いドアが乗降の妨げにならず、むしろ快適に開け閉め可能なように、斜め上方に跳ね上がるガルウィングタイプのドアを採用しています。そして、このガルウィングドアが、このクルマのセールスポイントにすり替わったようです。
 ガルウィングドアであることが、SERA のイメージを決定づけています。

SERA SIDE VIEW SERA のボディは流麗な曲面で構成されています。複雑な3次元曲面が多用された際立って丸いボディラインですね。 SERA の丸っこさに拮抗しているのは、新型 VW Beetle くらいかも知れません。
 全長は3.86m,全幅1.65m、高さは1.265mとなっています。面積は1.3リッタークラスの標準的なサイズです。但し、ガラスの比重は大きく、強度を保つためにはそれなりの厚みもあるため、このガラス面の大きな(リアガラスハッチに至っては、未だに国産車最大)クルマは車両重量が1tに達しています。そのためでしょう、1.5リッターのエンジンが与えられています。
 
SERA GULL WING VIEW 巨大なリアガラスハッチとガルウィングドアとは、開口時に平行となるようにデザインされています。このような演出は随所に見られます。シャーシレイアウトとサスペンションレイアウトこそ当時のスターレットと共通ですが、SERA のほとんどは専用設計された SERA だけのパーツで構成されています。また、流麗なボディラインを実現するために、液圧プレス成形,レーザー切断などの新しい生産技術が初めて投入されました。更に、トヨタでのプロジェクターヘッドライトの採用はこのクルマが初めてですし、ダンロップとの共同開発による専用タイヤ NAGI の設定、当時初めてのデジタル・シグナル・プロセッサによる可変音場を実現した専用オーディオ Super Live Sound System のオプション設定など、開発陣と彼らの思想を支持したトヨタの並々ならぬ入れ込みは、SERA を完成度の高いクルマに仕上げています。SERA METER PANEL

 こだわりは、当然のように内装へも及んでいます。必要十分な情報を表示するメーターパネルはシンメトリーな配置で一見簡素な印象を抱きますが、黄を基調色とするイルミネーションと特徴ある目盛り数字により、「特別」を感じさせる演出に成功しています。
 視認性の良いメーターパネルと同様に、コクピットは使いやすさと美しさを併せ持つデザインに満ちています。
SERA INTERIOR ハザードとリア電熱線のスイッチは左手がすぐ届くわかりやすい位置に大きなボタンとして配し、丸形のエアコン送風口はシャッターを兼ねるデザインのルーバーで特徴づけられています。専用のオートエアコンは、温度と風量設定とを水平に配したスライドスイッチで行い、スライドスイッチ上部へ平行に配置されたボタン群で動作モードの切り替えが行えます。オーディオスペースの下にはダンパーでゆっくりと開く構造を持つ灰皿があり、そこから続くセンターコンソールはダッシュボードと同色の特殊塗装が施されて、まるで一品製作されたような仕上がりです。
 シートもヘッドレスト一体型の SERA 専用のものです。小さなクルマですが、リアシートも持ちます。傾斜のきついリアハッチ形状のために、リアシートは子供用と言っても良いくらいですけどね。
 
 SERA のガルウィングドアは、極寒から酷暑,強風,豪雪,豪雨などでの動作テストを十分に行って作り上げているそうです。そんな丁寧な作りに満ちているクルマです。しかし、ビジネスとしては失敗でした。‘95年12月の製造終息までに販売されたのは、僅かに1万6千台弱であったと聞きます。
 ガルウィングドアは、普通とは違いすぎたのでしょう。SERA を奇異とする声は、ガルウィングドアに起因しているようです。そして、乗ってみると、評価が肯定的になるケースが多いクルマでもあるようです。
 
 今、SERA は中古市場で人気が高いようです。数が少ないのが理由でしょう。しかし、希少性というだけで人気があるわけではないと信じます。



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