1998年11月02日

〜お気に入りの家電〜



LUXKIT A3000

LUXKIT A3000 パソコンが隆盛を迎える前、結構な数の男の子が、社会人になったらオーディオにはまるって頃がありました。
 今は、パソコンがオーディオに取って代わりましたね。

 そして、蝉がオーディオにはまってた頃の残滓を、本ページの冒頭に挙げることにしました。

 ここで紹介する電化製品の中で、唯一定番の美しさって分類になりそうなデザインをまとったものです。

 それは、真空管と呼ばれるガラスチューブで封印された素子を制御増幅装置としたアンティークなオーディオアンプ、LUXKIT A3000 です。

 365 × 225 mm のシャンパンゴールドに彩られたベースの奥には真っ黒い匣、トランスが2つシンメトリーに配置され、その間には銀色の円柱、コンデンサーと銀色の外皮をまとった小型のトランスが置かれます。そして、それらを舞台装置として、4つの小さなガラスチューブと2つの大きなガラスチューブ、制御管と増幅管とが整然と居並びます。

RCA 6550A 電源を入れると、真空管はオレンジ色にぼうっと光ります。

 ガラスチューブの中には加熱電極が封入され、管内は高い真空となっています。オレンジ色の光は、電極が過熱発光したものです。そして、過熱により管内が高温となることで、高い真空状態を維持するための役割も持つのです。
 気密が破られると、電極は急激に酸化燃焼してしまいます。

 真空管は、長期間使用しないと僅かずつ管内に空気が浸入して真空度が低下してゆきます。古い真空管ほど音が良いといった神話は、使い続けて程良くエージングされたものに言えるのです。デッドストックなどは、品質低下はあっても音が良いってのは怪しいものです。
 また、コンデンサも使わないと機能低下が起こります。電気回路も道具と同じ、使ってやらなくっちゃ育たないんでしょうね。

 LUXKIT とあるように、A3000 は誰かが組み上げたものです。作者を知りません。かれこれ15年ほど前から私の元に来て以来愛用しています。
 キット販売から数えれば、ほとんど同い歳です。増幅管は米国 RCA 社製 6550A がプッシュブル動作。 AB級なわけですけど、LUXMAN の純A級トランジスタアンプを使っていたことがありましたが、それに比べても遜色の無い音です。

 A3000 はモノラルアンプですので、ステレオセットとして使うために左右それぞれ、都合2台を使います。
 不経済ですけど、同時に壊れるってことはないので、故障したときは正常な方と比較して修理できて便利です。古いものですし、キットでもあるから偶に壊れても、自分で直すしかないんです。

A3000 & SB-RX100 ソースは YAMAHA CDX-2200 から直接 A3000 へ入力、Technics SB-RX100 というスピーカーへ出力されます。
 明るく鋭角的なキャラクタのプレイヤーと、どことなく鈍間な感があるアンプ。実際には、ウォーミングアップの時間が必要なだけで安定すれば追従性も充分、鈍間なところは皆無です。そして、この組合せは、とてもいい雰囲気で音楽を奏でます。

 写真右が、Technics の SB-RX100。同軸型 2way スピーカーという特殊なレイアウトを採っています。20cm 平面ウーファーの中心に、3cm の平面ツィーターがビルトインされています。
 このため再生帯域は広く、音像の定位はフルレンジ並みにシャープな特性を持っています。
 筐体は平凡ですが、スピーカーユニットはデザインに力を入れたようで、真鍮のリムで同心円の美しさを強調するなど、なかなか個性的かつ綺麗なデザインのスピーカーです。


 オーディオ用アンプであろうとも、真空管の機能はトランジスタで代替できますし、真空管を使えば音が良くなるってわけでもありません。
 でも、過熱電極のオレンジの光、そして陰極線が発する淡い蒼い光芒は、光を放たないトランジスタよりも魅せられるものがあるのです。
 そして、その真空管を見せるようにデザインされた真空管アンプは、いつまで経ってもオーディオに興味を持つ者を惹きつけて止まないんでしょうね。


 オーディオは嗜好品ですから、デザインを特別重視した製品も多いですね。色んな指向の製品があって、とっても楽しいです。特に、‘80年代前半以前の英国 QUAD 社のデザインが好きです。愛用のステレオシステムには不要の構成品ってことで手放してしまった QUAD 34 & FM4 。初めて買ったオーディオ機器、しかもデザインに一目惚れってこともあって、手元に残しとくべきだったと悔やんでます。コンパクトな機器ですしねぇ…。

 オーディオに興味ない方には、ラジカセやミニステレオで充分じゃない?って言われそうですけど、高級オーディオは音量を絞っても音質や雰囲気が変わりにくいんです。ミニステレオなんかは、音量を絞ってくと音が痩せてくものがほとんどです。ですから、大音量が望めない集合住宅では都合が悪いんです。
 音質の多くはスピーカーで決まるのでしょうけど、音量変化に対して音質や雰囲気が変わりにくいって要素は、パワーアンプで決まると感じてます。重厚長大なアンプは、その容積と質量分だけ安定するにも時間がかかりますが、小さな音量でも豊かな音質を保ちますね。



Panasonic KURZ VE-R7

KRUZ コードレス留守番電話機です。

 電話機は、多種多様な製品が巷に溢れている割には、優れたデザインと感心するものが少ない分野と感じてます。
 そんな中で、心を奪われたものが Panasonic KURZ VE-R7 です。

 商品寿命が短い電話機としてはずいぶん前(‘90年頃)の製品ですけど、未だに気に入っています。それ程奇をてらったものでもなく、むしろ電話機を主張するようなデザインがいいですね。

KRUZ ダイヤルアクション KRUZのデザインの要である大きな丸いダイヤルは、ダイヤル電話を意識してデザインされているんでしょうけど、機能切替用のファンクションダイヤルです。
 通常位置ではファンクションダイヤル上に配置されたボタンはグリーンの淡い光芒を放ち、短縮ダイヤルとして機能します。時計回りにファンクションダイヤルを回すと、ボタンは一瞬オレンジ色に輝き、5度程度の角度で留まります。ダイヤル中央で緑色に光っていた 「DIRECT」 の文字が消え、代わって 「TAPE」 の文字がオレンジ色に光ります。そして、オレンジの淡い光芒に変わったボタンは、留守番録音用マイクロレコーダーの操作ボタンとして働くのです。
 短縮ダイヤルとして使われるボタンは上部に弧を描いて並ぶ6つですが、ファンクションダイヤルは反時計方向にも回り、都合12件の電話番号を登録できます。

KRUZ 子機と親機 ところで、受話器イコール子機であって親機には受話機能が付いていないKRUZのような電話機は、現在ではほとんど製品化されていません。親機には必ずコード式の受話器が付いています。でも、間数が少ない集合住宅居住者には、KRUZのようなスタイルのコードレステレフォンが使いやすいんですよね。

 KRUZは、当時の松下電器製家庭用電話機の中で最も高価な製品でした。同じ基本機能を持った他機種の倍はしてました。尤も、蝉のは地方デパートの展示処分品なんで、普通の電話以下でしたけどね。
 高価なりに、デザインだけではなく付加機能も充実しています。

 KRUZは、 DSP 技術を取り入れた最初のモデルです。コール音の生成などに DSP を使っています。今では Panasonic ブランドおなじみのコール音の元祖ですね。あまり気に障らない音色とメロディーが気に入っています。
 また、リラックスモードという居留守機能も用意されてます。留守電中にコール音やモニター音がせず、着信をチャイムで報せるだけという機能です。
 録音機能は、今では珍しいマイクロテープレコーダ方式ですね。長時間録音が可能というメリットを活かして、KRUZを伝言ダイヤルのホストとして使用できるようにもなっています。つまり、KRUZは公衆電話などからリモートコントロールできるようになっているのです。もちろん、外部から留守電の内容を聞いたり、留守電をセットし直したりできます。

 ぱっと見は、未来的なデザインなのに親しみやすいんですよね。
 ダイヤル電話をモチーフにして、パステルグリーンの外装色を与えてるからでしょう。
 αもナンバーディスプレイもありませんが、いつまでも大切に使い続けたい電話機です。



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