1998年10月19日
IDE チャネル | I/O Port Address | IRQ | 備考 | ||
CS0 (Command Block) |
CS1 (Control Block) |
||||
1 | Primary | 01F0h-01F7h | 03F6h-03F7h | 14 | IBM PC/AT MFM Controller が使ってた割り込み |
2 | Secondary | 0170h-0177h | 0376h-0377h | 15 | Enhance IDE で標準化 |
3 | Thirdly | 01E8h-01EFh | 03EEh-03EFh | 12 or 11 | 非標準 デバイスドライバかアプリケーションが必要 |
4 | Fourth | 0168h-016Fh | 036Eh-036Fh | 10 or 2/9 |
ところが、 PC-9821 にはセカンダリ IDE
チャネルがありません。プライマリ IDE
チャネルしか、用意されていないのです。
PC-9821 の CD-ROM Drive は ATAPI
仕様を採用しています。内蔵 HDD は IDE ですから、 PC-9821
のプライマリ IDE チャネルは、 HDD と CD-ROM Drive
を制御していることになります。つまり、既に2つの IDE
機器を制御しているのです。
PC-9821 のマザーボードを見ると、 IDE
のコネクタが2つ用意され、それぞれのコネクタからケーブルが延びて、一方は
HDD に、もう一方は CD-ROM Drive
に接続されています。このレイアウトは、 PC/AT
と同じです。しかし、 PC-9821 のマザーボードでは、2つの IDE
コネクタの配線がボード上でつながっているのです。
このため PC-9821 では、 Windows95
などのデバイスマネージャでハードディスクコントローラのプロパティを見ても、プライマリやセカンダリの
IDE
コントローラが表示されないのです。無いものには、ドライバも要らないわけですね。
ところが、 PC-9821 では IDE 仕様の HDD
を1台追加できるとされています。これは、かなり強引なやり方ですが、
CD-ROM Drive
をあたかも無いものとするように細工してあるのです。このため、内蔵の
CD-ROM Drive
は、本来スレーブの設定で接続すべきところを、マスターの設定として接続しています。
このような仕様は、当然不具合を誘発させます。この仕様に伴う不具合の多くは、
HDD を追加した時に CD-ROM Drive
が見えなくなるというものです。また、 CD-ROM Drive は見えても、
CD-ROM Drive
からファイル転送を行うと失敗することが多くなります。
この問題の対策は、 Windows95
から強化されたマルチタスク機能を抑制してしまうという、パフォーマンスダウンの方法しかありません。具体的には、
\windows\system\iosubsys フォルダにある esdi_506.pdr
をアップデートする必要があります。
では、 HDD
を追加したい場合は、どうしたらいいのでしょう?
最も安価な方法は、元々内蔵されていた HDD
は使わずに、大容量の IDE HDD
と入れ替えてしまうことです。但し、一部の機種を除き 4.3GB
を超える容量を持つ HDD は使えません。従って、 4.3GB 以下の HDD
を選びましょう。
また、残念なことに、内蔵 HDD を交換すると NEC
の保証が無くなります。構成部品の変更は、本体の改造行為に当たるからです。従って、この方法は、改造を行う人の判断と自己責任が求められます。
(容量によって使えない HDD
があるという問題は、マイクロソフト社の INT 13h
デバイスマスターブートレコードの仕様に起因しています。 PC-9821
では、 PC/AT
と仕様が異なるために、この問題は発生しないと言われていますが、確認が取れないため
4.3GB を超える IDE HDD
の使用は勧めません。本件に関しては、一般的な内容として、いつか記述したいと思ってます。)
PCI バスを使っていないのであれば、PCI の SCSI
カードと外付けの SCSI HDD を選択するのが、最も安全な方法です。
PC-9821 では、内蔵の IDE チャネルが PC/AT
の様に高速ではないため、多くの場合 PCI バス経由の SCSI
で増設した SCSI HDD の方が高速でもあります。
「Aドライブの容量を大きくしたいから、 HDD
を増設するんだ」ってことでしょうけど、これは Windows95 や 98
を使用されている方の意見でしょう。
このような場合、以下の手順で仮想メモリを新しく追加した
HDD へ変更します。
以上の設定によって、Aドライブはほぼ容量いっぱいまでユーザーが管理できるようになります。但し、一時作業ファイル(テンポラリファイル)は除きます。
尚、 IDE 分岐ケーブルを使って増設した IDE HDD
は、絶対に仮想メモリとしないで下さい。